カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「撮影前はどうなることかと思ったけど」

言われて雪乃さんに再度頭を下げる。

「本当にすみませんでした」
「そんなに謝らなくていいわ。私も過去に同じようなことして先輩に怒られたもの」

雪乃さんは詳しいことを話してはくれなかった。
だから本当なのか、私を気遣ってくれたからなのかはわからない。
でも間違いをきちんと指摘してくれた雪乃さんにこれからも付いていきたいと心から思った。

「引き続き勉強させてください」

また頭を下げると雪乃さんは笑った。

「咲ちゃんは真面目ね。でもそういうところも好きよ。だから今度から出張撮影にも同行してもらおうかな」
「本当ですか?!」

雪乃さんはスタジオ撮影も上手いけど、屋外を舞台にした写真に定評がある。
過去に大手広告代理店の屋外を舞台にした広告写真はSNSに載せた瞬間、反響がすごくて、それからというもの、多くのフォロワーを有するほどの人気フォトグラファーなのだ。
その撮影風景を間近で見れるなんてこんなに嬉しいことはない。

「よろしくお願いします!」
「うん、予定はまた連絡するね。じゃあ、お疲れ。あ、そうだ」

雪乃さんが振り返った。

「今日は片付けもういいから、たまには彼氏のところに行って来なね」

パチっとウインクされて驚いたけど笑ってしまった。
気まずい雰囲気で終わることになるかと思っていたからホッとしたのもある。

「もっと頑張ろう」

アシスタントとして雪乃さんの力になれるように。
それからちょっとやそっとのことでは動揺しないフォトグラファーと、芯の強い女性になれるように。
もちろん片付けをしないで帰ることなんてしないけど、その日は帰宅後すぐに月城さんに電話した。
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