カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「そうか、そんなことがあったのか」
泊まった時に本棚から本を抜き出して撮影してしまったこと、それを雪乃さんに見せて怒られたこと、のどかちゃんの撮影のこと、これからのことを話した。
長い話になってしまったけど、月城さんはしっかりと聞いてくれた。
「勝手に写真撮ったりしてすみませんでした。全部の本を見たわけでは決してないんですけど、たまたま開いたら」
「すごい確率だな」
「すみません」
電話口で月城さんには見えないけど頭を下げて謝った。
「いや、謝る必要はないよ。見られて困るものはないから。ただそんな写真、どこに残っていたんだ?」
月城さんに聞かれたので経済学の本だと伝えると、月城さんは本棚の方に向かったようでカタカタと音が聞こえる。
「これか」
見つけたようで今度はパラパラとページを捲る音がした。
「なるほど。この写真を先輩カメラマンに見せて怒られたというわけか」
「はい」
情けない自分を知られるのは嫌だ。
でも色々勝手をしたのは私自身。
どんな言葉も甘んじて受けるつもりで月城さんの言葉を待つ。
すると月城さんは「フッ」と小さく笑った。
「え?ど、どうして笑うんですか?」
「いや、だって俺はなんでも完璧にこなす咲しか知らないから。先輩に怒られるくらいのことがあって安心したんだよ」
そういうものなのだろうか、と首を傾げると月城さんの優しい声が電話口から聞こえた。
「ありがとう。話してくれて」
「いえ。こちらこそ本当にすみませんでした」
「だから謝らなくていいって。ただちょっと誤解しているようだから」
「誤解?」
それはどこの部分を指すているのか。
耳を澄ませて続きを待つ。
月城さんが移動しているのが音で分かった。
「咲の次の休みは?」
スケジュールを確認していたようだ。
私も勤務表を手に取り、予定をすり合わせ、金曜日の夜、月城さんの家で落ち合い、その時に続きを話すことになった。