カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「咲」
「は、はい」
「愛してる」

囁くような月城さんの声に鼓動が一際大きく打ちつけた。
近づいてくる月城さんの顔を前にゆっくりと目を閉じる。
唇がまた重なった。

啄むようなキスから、優しく、時に激しく唇が重ねられる。
ついていくのがやっとで、呼吸が乱れる。

「んっ…!」

唇のラインをなぞるように舌が這われ、その初めての全身が痺れるような感覚に声が漏れてしまった。

「寝室に行こうか」
「…え?!」

色々驚き過ぎていて気付くのが遅れたけど、そういうことか。

「でもなんの準備もしていなくて」
「必要なものがあればコンシェルジュが用意してくれるよ」
「そういうことでもなくて」

心の準備が出来ていないと今更ながら狼狽える。

「怖い?」

月城さんの優しい声が胸を締め付ける。

「正直、怖いです。でも」

気持ちに応えたい。
私も気持ちを伝えたい。
意を決して小さく頷くと体がフワッと浮いた。
お姫様抱っこからベッドにそっとおろされた。
初めてでドキドキして緊張もしているのに、月城さんを求めるように手を伸ばす。
すると月城さんは私の唇に、それから首筋に優しくキスをしてくれた。

「大丈夫か?」

聞かれて頷く。

「少し怖いけど」
「精一杯優しくする」

月城さんはその言葉通り、時間をかけて優しく抱いてくれた。

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