カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
過去一番の恥ずかしさと幸福感という複雑な感情の中、隣で寝ている月城さんを見つめる。

「綺麗な寝顔」

そっと頬に触れると身じろいだので慌てて手を布団の中に入れ、タヌキ寝入りを試みる。

「咲?」

呼ばれてゆっくりと目を開けると月城さんが体を起こして私の頭にそっと触れた。 

「体、大丈夫か?」
「は、はい」

月城さんの剥き出しの上半身に、目のやり場に困った私は布団をかぶる。

「恥ずかしがる咲も可愛いな」

月城さんのご機嫌な声に胸がキュンとする。

「咲」

月城さんが布団ごと私の体を抱きしめた。

「咲、咲」

何度も名前を呼ばれて可笑しくて笑ってしまう。

「もう、フフ。なんですか?」
「幸せを噛み締めていただけだよ」

名前を呼ぶことで幸せを感じられるものなのだろうか。

「和津さん」

呼んでみた。
少し気恥ずかしいけど呼んでみた。
でも反応はないし、まだよくわからない。

「和津さん」

もう一度呼んでみると胸のあたりが暖かくなってきた。
これが幸せなのかもしれない。

「和津さん!」

さらに呼んでみると布団が剥がされ、組み敷かれた。

「ど、どうかしましたか?!」

やっぱり目のやり場に困ってしまう。
顔を逸らすも月城さんの手がそれを制す。

「もう一回。目を見て呼んでくれ」
「え?あ、えっと…和津さん?」

なぜか疑問系になってしまったけど、なんとか目を逸らさず呼ぶと月城さんは顔を隠すように私に覆い被さった。
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