身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
週末はあいにく天気が悪く、成さんと家でゆっくり過ごした。
休日の間、何度か成さんのスマホには着信がきていたけれど、夕花さんからもきていたかまでは確認していない。
不安じゃないと言えば嘘になる。
だけど、成さんは土日の間、私と一緒にいてくれたから乗り越えられた。
週明け以降も特に変わらぬ毎日を過ごし、あっという間に金曜日を迎える。
私は朝からバタバタと仕事に追われ、定時目前の今は、いろんな部署を経由して開発部にいた。
友廣さんへの用事が終わり、廊下に出た瞬間、人とぶつかりそうになる。
「きゃ! す、すみませ……え? 紀成さん?」
謝罪の言葉を口にしながら相手を見ると、剛士さんで目を丸くした。
「こちらこそ。まさかちょうど出てくるとは思わなかったものだから」
また会った時はどうしようかって、まったく考えてなかったわけじゃない。
しかし、こうも突然現れられると、用意していた言葉もすっかり頭から飛んでしまう。
私が茫然としていると、剛士さんは「ははっ」と楽しげに笑いを零した。
「デジタルコンテンツ部へ行ったら、時雨さんは経理部へ行ったって聞いて。経理部へ出向けば今度は広報へ行ったようだって。そして、ようやくここで捕まえた。どんだけ働くの? 時雨さんって」
「え? いえ……。私の仕事量なんかまだまだ……」
くすくすと笑い続ける剛士さんは、この間よりもフランクだった。
私は戸惑いつつも、彼の笑いが収まるのを黙って待つ。
すると、ようやく落ち着いた剛士さんが言った。
「時雨さんも社長令嬢だろう? きっと、そこまで必死に仕事をしなくてもに咎められたりしないでしょ。それなのによく働いてるんだね。周りも社員たちもどうやら時雨さんと対等に接してるみたいだし」
「……なにを仰りたいんですか?」
私には仕事をこなすなんて無理とでも言われているみたいで、ちょっと引っかかった。
そんな私の心象を察したのか、剛士さんは慌てて訂正する。
「あ、いや違うんだ。めずらしいなって思って。俺は今まで仕事とか興味なく、美容や趣味や習い事とかに精を出すようなお嬢様にしか会ったことなかったから」
どうやら彼は、単純に『めずらしい』という感想を抱いただけらしい。
休日の間、何度か成さんのスマホには着信がきていたけれど、夕花さんからもきていたかまでは確認していない。
不安じゃないと言えば嘘になる。
だけど、成さんは土日の間、私と一緒にいてくれたから乗り越えられた。
週明け以降も特に変わらぬ毎日を過ごし、あっという間に金曜日を迎える。
私は朝からバタバタと仕事に追われ、定時目前の今は、いろんな部署を経由して開発部にいた。
友廣さんへの用事が終わり、廊下に出た瞬間、人とぶつかりそうになる。
「きゃ! す、すみませ……え? 紀成さん?」
謝罪の言葉を口にしながら相手を見ると、剛士さんで目を丸くした。
「こちらこそ。まさかちょうど出てくるとは思わなかったものだから」
また会った時はどうしようかって、まったく考えてなかったわけじゃない。
しかし、こうも突然現れられると、用意していた言葉もすっかり頭から飛んでしまう。
私が茫然としていると、剛士さんは「ははっ」と楽しげに笑いを零した。
「デジタルコンテンツ部へ行ったら、時雨さんは経理部へ行ったって聞いて。経理部へ出向けば今度は広報へ行ったようだって。そして、ようやくここで捕まえた。どんだけ働くの? 時雨さんって」
「え? いえ……。私の仕事量なんかまだまだ……」
くすくすと笑い続ける剛士さんは、この間よりもフランクだった。
私は戸惑いつつも、彼の笑いが収まるのを黙って待つ。
すると、ようやく落ち着いた剛士さんが言った。
「時雨さんも社長令嬢だろう? きっと、そこまで必死に仕事をしなくてもに咎められたりしないでしょ。それなのによく働いてるんだね。周りも社員たちもどうやら時雨さんと対等に接してるみたいだし」
「……なにを仰りたいんですか?」
私には仕事をこなすなんて無理とでも言われているみたいで、ちょっと引っかかった。
そんな私の心象を察したのか、剛士さんは慌てて訂正する。
「あ、いや違うんだ。めずらしいなって思って。俺は今まで仕事とか興味なく、美容や趣味や習い事とかに精を出すようなお嬢様にしか会ったことなかったから」
どうやら彼は、単純に『めずらしい』という感想を抱いただけらしい。