身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
 数時間後。

 お風呂に入ってから、私が簡単に作った遅めの夕食をふたりで食べた。

 片付けも終えてソファに座った時に、成さんがおもむろにスマホを手に取った。

「あ。そういえばさっきの電話……。大丈夫でしたか……?」

 込み入っていた時にかかってきた電話とはいえ、急ぎの用件だったらどうしよう。

「うん。夕花さんからだ」
「えっ」

 成さんの返答に心底びっくりした私は声を上げて固まった。
 成さんはスマホをテーブルに戻し、私の隣に座って頭を撫でられる。

「さすがに無視し続けることは難しいから、次に着信があれば出るよ。でも」
「はい。もう私は平気ですから」

 これは強がりじゃない。自分自身の不安定だった気持ちが、覚悟を決めたら根を張ることができたから。

「梓」

 名前を呼ばれ、顔を向けたらちゅっと唇にキスが落ちてきた。

 どぎまぎしていると、成さんは私の目をまっすぐ見て言う。
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