身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
「俺が愛してるのは梓だけだよ」

 素直になって、彼の言葉をそのまま受け取ればいいと決めたら、単純だけどすごくうれしくて面映ゆい。

 成さんがじっと私の顔を見続ける。
 おそらく私の言葉を待っていると気付いて、たどたどしく口を開いた。

「わ……たしも……愛して、ます」

 こんなこと言ったことないし、人生の中で一番恥ずかしい。

 頬が紅潮してるのがわかるほど熱くなって、堪らず俯いた。
 刹那、顎を捕らわれクイッと上を向かされる。

「んっ! ふ……う……んぁッ」

 唇を重ねられ、徐々に深くなっていく過程でソファに倒れ込んでしまった。

 慌てて目を開けたら、スッと影を落とされる。

「な、成さ――」

 彼の妖艶な笑みに胸が早鐘を打つ。

 ついさっきまで、なにもかもを忘れてお互い求め合ったばかり。
 まさかまた甘い空気が漂う流れになるとは予期してなくて、しどろもどろになる。

 成さんが私の耳元に鼻先を近付けて、たっぷりと蜜を含んだ声で囁いた。

「明日が休日でよかった。ゆっくり過ごせるね。梓……」

 瞬間、全身が急激に熱くなる。

 彼は私の反応を見て満足げに目を細め、口に弧を描く。
 そして、その魅惑的な唇を私の首筋に這わせた。

「あぁっ」

 成さんの身体の重みと熱に、たちまち理性を奪われる。

 すべてを曝け出して抱き合うことが、こんなにも幸せなのだと初めて知った。

 その夜、彼の電話が鳴ることはなく、私は何度もたくましい背中に爪を立てた。
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