身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
 それから私は夕花さんと別れ、成さんが待つカフェへ向かって合流した。

 成さんはこんな隙間時間でも仕事をしていたのか、電話中。
 しかし、私の姿を見つけ、通話をすぐに終えて笑顔を見せる。

「梓! 話は終わったの? 大丈夫だった?」
「はい。大丈夫です。お待たせしてすみませんでした」

 私は頭を下げた後、ひとまず成さんの向かいに座った。

「そっか。ところで、話ってなんだったの?」

 何気なく聞かれた質問に、私は数秒考える。そして、ひとこと答えた。

「女同士の秘密です」

 成さんは、元々私が夕花さんに宣戦布告された事実も知らないし、夕花さんとのことはもう終わった話だから。

 それに、夕花さんの言動は理解できなかったけど、彼女自身に嫌悪感は抱かなかった。

「それは気になるなあ。でも秘密なら仕方ない」

 成さんは大人だから、それ以上追及せずにいてくれた。

「最後は『ごめんなさい』って謝られました。夕花さんはもう私たちを困らせることはしないと思います」

 私がそう伝えると、成さんは「そうか」と優しく笑った。

「半端な時間になっちゃいましたね。どうしましょうか……」

 腕時計を見ると、もうすぐ四時になるところ。
 この時間からだと、遠くへ移動はできないから近場でプランを考えないとだめかもしれない。
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