身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
「うん。でも本も借りて帰れますよ」
「そうなんですか? へえ。こういう場所があるんですねえ」
時雨グループは大手出版社で、私がいる会社ももちろん本は深くかかわる事業だけれど、電子ばかり。
こうして実物の本に触れる機会って、知らない間に減ってるんだよね。
早速メニューを開くと、数は多くなかった。が、見覚えのある本のタイトルがあって、思わず凝視する。
「ん? これって、もしかして全部本で出てきた料理ですか?」
「そうです。店主が本の中の料理を再現して作ってくれているんですよ」
「すごい。面白いですね! あ、私この絵本読んだことあります。わあ~、トマトから作るオムライスだ。私、これがいいです!」
昔読んでいた絵本がメニューのラインナップにあって、つい興奮する。
すると、成さんがくすくすと笑った。
「即決ですね。じゃあ僕はサンドイッチにしようかな。飲み物はなににします?」
「ええと、ぶどうジュースで」
彼は私が答えた後、すっと片手を上げてスタッフに合図し、オーダーを済ませてくれる。
私はそんな姿をちらっと見て思った。
成さんって、すごく気が利くし、よく笑うし……。感じはいいし、およそ欠点が見つからない人だ。
こんなにいい相手だったのに、友恵ちゃんはどうして無断ですっぽかしたんだろう。
彼女も穏やかなタイプだし、すごくお似合いなのにな。単純に伯父に反発したくなったとか?
うーん、これまで友恵ちゃんが反抗した話なんて聞いたことないし、それはないかな。
ぼんやり考えていたら、成さんと目が合った。
ずっと見ていたのがバレたのでは、と慌てて視線を逸らす。
「ここは本を多種多様に揃えているんですね。だから客層も広いんでしょうね」
とにかくなにか話題を……と切り出した。
「そう。以前、スーツ姿で入店しても違和感なかったです。いろいろな人が利用しているので」
今も、店内には女性のひとり客や中年の夫婦、若い男性客もいる。
私は目線を再び手元に戻し、話題を変えた。
「やっぱりそうなんですね。あ。これも有名な絵本のおやつですね! パンケーキかあ。これも美味しそう」
急に落ち着かなくなってきた。
オーダーも決め終え、ただ向かい合って料理を待つって緊張するものなんだな。
さっきの公演は席が隣で、視線が合ったり会話したりはなかったからか。
目のやり場でさえ、どうしたらいいかわからなくなってしまった。
メニューから顔を上げられずにいると、成さんに聞かれる。
「そうなんですか? へえ。こういう場所があるんですねえ」
時雨グループは大手出版社で、私がいる会社ももちろん本は深くかかわる事業だけれど、電子ばかり。
こうして実物の本に触れる機会って、知らない間に減ってるんだよね。
早速メニューを開くと、数は多くなかった。が、見覚えのある本のタイトルがあって、思わず凝視する。
「ん? これって、もしかして全部本で出てきた料理ですか?」
「そうです。店主が本の中の料理を再現して作ってくれているんですよ」
「すごい。面白いですね! あ、私この絵本読んだことあります。わあ~、トマトから作るオムライスだ。私、これがいいです!」
昔読んでいた絵本がメニューのラインナップにあって、つい興奮する。
すると、成さんがくすくすと笑った。
「即決ですね。じゃあ僕はサンドイッチにしようかな。飲み物はなににします?」
「ええと、ぶどうジュースで」
彼は私が答えた後、すっと片手を上げてスタッフに合図し、オーダーを済ませてくれる。
私はそんな姿をちらっと見て思った。
成さんって、すごく気が利くし、よく笑うし……。感じはいいし、およそ欠点が見つからない人だ。
こんなにいい相手だったのに、友恵ちゃんはどうして無断ですっぽかしたんだろう。
彼女も穏やかなタイプだし、すごくお似合いなのにな。単純に伯父に反発したくなったとか?
うーん、これまで友恵ちゃんが反抗した話なんて聞いたことないし、それはないかな。
ぼんやり考えていたら、成さんと目が合った。
ずっと見ていたのがバレたのでは、と慌てて視線を逸らす。
「ここは本を多種多様に揃えているんですね。だから客層も広いんでしょうね」
とにかくなにか話題を……と切り出した。
「そう。以前、スーツ姿で入店しても違和感なかったです。いろいろな人が利用しているので」
今も、店内には女性のひとり客や中年の夫婦、若い男性客もいる。
私は目線を再び手元に戻し、話題を変えた。
「やっぱりそうなんですね。あ。これも有名な絵本のおやつですね! パンケーキかあ。これも美味しそう」
急に落ち着かなくなってきた。
オーダーも決め終え、ただ向かい合って料理を待つって緊張するものなんだな。
さっきの公演は席が隣で、視線が合ったり会話したりはなかったからか。
目のやり場でさえ、どうしたらいいかわからなくなってしまった。
メニューから顔を上げられずにいると、成さんに聞かれる。