身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
約三十分後。
家の前に着いてしまった。
なんか今になって、めちゃくちゃ緊張してきた。
まるで彼氏を連れてきた感覚。そういや、大人になって男の人を家に連れてきた記憶がない。
無意識に横にいる成さんを、ちらっと見る。
彼は私の視線に応えて、軽く口の端を上げた。
いざ!と玄関を開け、「ただいま」と声をかける。途端にリビングからパタパタと足音が近づいてきた。
「おかえりなさい。成さん、こんにちは」
母が上機嫌で出迎える。私はなんだか居た堪れず、そわそわしていた。
「先日はありがとうございました。本日は突然の訪問をお許しください」
「いえいえ。こちらこそ。どうぞ上がってらして」
対して成さんはまったく緊張が見られない。堂々としていて頼もしいくらい。
先に成さんを通して、私はあとからついていく。
リビングを通り過ぎるとき、ちらっとドアの隙間から覗いたら、父がソファに座って新聞を眺めていた。
あれはおそらく、突然の来訪に戸惑いを隠せずに新聞を手に持っているだけ。
だって、私が出かけるときにも新聞を読んでいたもの。
客間に案内をした母は、お茶を淹れにその場を離れようとした。
そのときに、成さんはスマートに菓子折りを渡していた。
母がキッチンへ戻ったのを見送って、私は成さんに上座を勧める。
「どうぞそちらに座ってください」
「ありがとう」
ただ座布団に座るだけなのに、なぜか成さんの動きは綺麗に映る。
さりげない日常生活の所作から、育ちの良さが滲み出るんだよなあ。そしてきっと私は着物を着ていたってがさつだったに違いない。
ちょっと落ち込んでいたら、急に成さんが立ち上がった。
「時雨社長、お邪魔させていただきます」
「どうぞどうぞ。今日娘が約束していたのが成さんとは驚きました」
父がやってきて、再びそわそわしてしまう。
父は成さんに「座ってください」と声をかけて、全員が座る。その後すぐに、母がお茶を持ってきた。
私と成さん、父と母がそれぞれ横並びになって向かい合うと、なんだかドラマなどでよくあるシーンに重なって見える。
家の前に着いてしまった。
なんか今になって、めちゃくちゃ緊張してきた。
まるで彼氏を連れてきた感覚。そういや、大人になって男の人を家に連れてきた記憶がない。
無意識に横にいる成さんを、ちらっと見る。
彼は私の視線に応えて、軽く口の端を上げた。
いざ!と玄関を開け、「ただいま」と声をかける。途端にリビングからパタパタと足音が近づいてきた。
「おかえりなさい。成さん、こんにちは」
母が上機嫌で出迎える。私はなんだか居た堪れず、そわそわしていた。
「先日はありがとうございました。本日は突然の訪問をお許しください」
「いえいえ。こちらこそ。どうぞ上がってらして」
対して成さんはまったく緊張が見られない。堂々としていて頼もしいくらい。
先に成さんを通して、私はあとからついていく。
リビングを通り過ぎるとき、ちらっとドアの隙間から覗いたら、父がソファに座って新聞を眺めていた。
あれはおそらく、突然の来訪に戸惑いを隠せずに新聞を手に持っているだけ。
だって、私が出かけるときにも新聞を読んでいたもの。
客間に案内をした母は、お茶を淹れにその場を離れようとした。
そのときに、成さんはスマートに菓子折りを渡していた。
母がキッチンへ戻ったのを見送って、私は成さんに上座を勧める。
「どうぞそちらに座ってください」
「ありがとう」
ただ座布団に座るだけなのに、なぜか成さんの動きは綺麗に映る。
さりげない日常生活の所作から、育ちの良さが滲み出るんだよなあ。そしてきっと私は着物を着ていたってがさつだったに違いない。
ちょっと落ち込んでいたら、急に成さんが立ち上がった。
「時雨社長、お邪魔させていただきます」
「どうぞどうぞ。今日娘が約束していたのが成さんとは驚きました」
父がやってきて、再びそわそわしてしまう。
父は成さんに「座ってください」と声をかけて、全員が座る。その後すぐに、母がお茶を持ってきた。
私と成さん、父と母がそれぞれ横並びになって向かい合うと、なんだかドラマなどでよくあるシーンに重なって見える。