身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
「え? え!? もしかして、友恵ちゃん!?」
私の名前も知っているし、鈴の転がすような可憐な声色は彼女に違いない。
《そう。久しぶり。あっ、今平気だったかな? 都合悪いならまた……》
「大丈夫だから! 友恵ちゃん、今どこにいるの?」
危うく通話を切られそうになって、慌てて引き留める。
消息のつかめなかった友恵ちゃんから、せっかく連絡が来たんだもの。この機会にいろいろと聞き出さなきゃ。
焦る気持ちから勢い余って聞いてしまった。そのせいか、友恵ちゃんからは返答がなく、無言が続く。
「あ、言えないならいいよ。危ない目に遭ったりしてない? ひとりなの?」
さっきは、ちょっときつい口調だったかもしれない。
反省した私は、今度はゆっくり落ち着いて尋ねた。
すると、ぽつりと電話口から返ってくる。
《うん。今はひとり。ビジネスホテルに泊まってる》
「……今は?」
《昼間はほとんど彼のところへ行ってるの》
友恵ちゃんがさらりと答えた言葉に、一瞬驚いて固まった。
これまで一度も恋愛についての話を聞かなかった。友恵ちゃんの性格だ。私から質問をしなかったから、言い出せずにいただけなんだろう。
「そうだったんだ……。ごめん、ちょっとびっくりして」
失礼かもしれないけれど、友恵ちゃんってイメージ的に箱入り娘って感じだったのもあって、彼氏がいるって想像しなかった。
《ずっと隠してたから。お父さんに知れたら絶対彼のところに怒鳴り込みに行くって思ったし》
確かに、伯父は厳しい。
しかも、鷹藤家とのお見合い話があったのだ。
友恵ちゃんは交際相手がいるなど、百二十パーセント反対されるのが目に見えていて、到底言い出せなかっただろう。
「それで……まさか駆け落ちしたの?」
《ううん! 今回は私の独断なの。彼は関係ない。そもそも私が家出したって知らないもの》
「えっ……」
《そんな話したら、当然彼からも怒られて家に帰りなさいって言われるから》
連絡自体唐突でびっくりしていたのに、話の内容にも驚かされる。
大事な人にも事実を明かせぬまま、ひとりでホテルに寝泊まりしてるなんて。
でも、どうやら付き合っている相手は常識のある人みたいでそこは安心できた。
そうはいっても、根本的な問題は解決していない。
私の名前も知っているし、鈴の転がすような可憐な声色は彼女に違いない。
《そう。久しぶり。あっ、今平気だったかな? 都合悪いならまた……》
「大丈夫だから! 友恵ちゃん、今どこにいるの?」
危うく通話を切られそうになって、慌てて引き留める。
消息のつかめなかった友恵ちゃんから、せっかく連絡が来たんだもの。この機会にいろいろと聞き出さなきゃ。
焦る気持ちから勢い余って聞いてしまった。そのせいか、友恵ちゃんからは返答がなく、無言が続く。
「あ、言えないならいいよ。危ない目に遭ったりしてない? ひとりなの?」
さっきは、ちょっときつい口調だったかもしれない。
反省した私は、今度はゆっくり落ち着いて尋ねた。
すると、ぽつりと電話口から返ってくる。
《うん。今はひとり。ビジネスホテルに泊まってる》
「……今は?」
《昼間はほとんど彼のところへ行ってるの》
友恵ちゃんがさらりと答えた言葉に、一瞬驚いて固まった。
これまで一度も恋愛についての話を聞かなかった。友恵ちゃんの性格だ。私から質問をしなかったから、言い出せずにいただけなんだろう。
「そうだったんだ……。ごめん、ちょっとびっくりして」
失礼かもしれないけれど、友恵ちゃんってイメージ的に箱入り娘って感じだったのもあって、彼氏がいるって想像しなかった。
《ずっと隠してたから。お父さんに知れたら絶対彼のところに怒鳴り込みに行くって思ったし》
確かに、伯父は厳しい。
しかも、鷹藤家とのお見合い話があったのだ。
友恵ちゃんは交際相手がいるなど、百二十パーセント反対されるのが目に見えていて、到底言い出せなかっただろう。
「それで……まさか駆け落ちしたの?」
《ううん! 今回は私の独断なの。彼は関係ない。そもそも私が家出したって知らないもの》
「えっ……」
《そんな話したら、当然彼からも怒られて家に帰りなさいって言われるから》
連絡自体唐突でびっくりしていたのに、話の内容にも驚かされる。
大事な人にも事実を明かせぬまま、ひとりでホテルに寝泊まりしてるなんて。
でも、どうやら付き合っている相手は常識のある人みたいでそこは安心できた。
そうはいっても、根本的な問題は解決していない。