身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
 軽井沢へは新幹線で向かった。
 新幹線だと一時間半もかからず到着するのだから、ほどよい距離でいい。

 軽井沢駅に到着したあとはレンタカーで移動する。

「どちらへ向かってるんですか?」
「南軽井沢に。まず荷物を置いてから出かけよう。俺も久しぶりだから先に別荘の位置を確認しなきゃと思って」

 成さんは信号で止まった隙に、ナビを見て言った。

 今日はどうやら観光客が多いのか、車の流れがあまりよくない。
 しかし、特別急ぐ理由もないため、私たちは気にせずゆったりと構えていた。

「何年ぶりかって言ってましたもんね。あれ? だったら鍵は……?」
「鍵は別荘管理をしてくれるところに預けてあるから届けてもらえるよ。やっぱり定期的にハウスクリーニングしてもらわなきゃならなくて」
「ああ。なるほど。そうですよね」

 ちゃんとメンテナンスが必要だよね。
 そうかといって、自分でマメに手入れするのは現実的ではないんだろう。

 そうこうしているうち木々に囲まれた道に入り、前方に立派な建物が見えてきた。
 
 すでに一台の車があり、成さんはその隣に停車して車を降りる。私も彼に続いて降車した。

 グレージュの外壁に黒のアクセントが入った、高級感のある外見。
 どこまでが私有地かわからないけれど、一般的な家の二軒分以上ある建物の大きさから推測するに、かなり広そう。

「おまたせ。鍵受け取ったよ」

 成さんが戻ってくるのと同時に、管理会社の女性も姿を見せ、私たちに会釈をして車で去っていった。

 成さんについて家の中に入る。
 玄関を抜けるとすぐにリビングで、足を踏み入れた瞬間、圧倒された。

 二十畳ありそうなリビングは、上下左右めいっぱい広げた窓から外の景色を眺められる。
 まるで大きな絵画みたい。
 今は葉の色が黄や赤色に染まっているが、夏は青々とした木々、冬は枯れ木に真っ白な雪が積もって美しい銀世界に変わるに違いない。

 自然の景色だけでなく、リビング内の雰囲気も素敵だ。

 木の温もりを感じられるフローリングや天井、薪用暖炉。
 北欧デザインのソファやカーテン、シーリングファンもまたおしゃれ。

 彼がここを気に入っているっていうのも頷ける。
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