身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
「どう? 家の中からの景観も好きなんだ」
「わかります。だって本当に素晴らしいですもん」
「だろ?」

 成さんは少年っぽく得意げに口の端を上げた。

 私が恍惚としてリビングの真ん中に立っている間、彼は私の荷物も一緒に上階へ運んでくれていた。
 すぐに戻ってきた後、今度はキッチンに向かって聞かれる。

「なにか飲んでから出発しようか?」
「は、はい。手伝います」

 成さんのもとへ小走りで向かう。

 ついさっきまではリビングと窓からの景色に目を奪われていたけれど、ダイニングもゆったりしたスペースだし、キッチンもアイランドキッチンで悠々としている。

 成さんがやかんに水を入れる。
 ちらりと背面のカップボードを見れば、どこかの旅館みたいにコーヒーや紅茶などの用意がされていた。

「すごい。なんでも揃ってる……」
「さっきの管理会社に依頼しておいたんだ。さすがに料理までは届かないけどね」
「そこまでになれば、グランピングになりますもんね」

 私はくすくすと笑いつつ、ティーカップを探し当てて二客出した。

 その後、私たちはダイニングテーブルで向き合って紅茶を飲んで、ひと息つく。
 私はカップをソーサーに戻し、おずおずと切り出す。
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