身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
「たまたまでも、私は大切なものを拾っていただいたから。でもやっぱり迷惑かしら……?」

 女性は苦笑いを浮かべ、差し出した手のやり場に困っている様子だった。
 それを見て、私は瞬時に両手をそっと伸ばした。

「いえ。では……ご厚意に甘えて、いただいてもいいですか?」

 私の言葉を聞いた女性は、見る見るうちにうれしそうな表情に変わった。
 私の両手のひらにそっと小箱を乗せる。

「ええ、もちろん。私が作ったものだから歪なところもあるかもしれないけれど」
「やっぱり手作りだったんですね。すごい綺麗……。ありがたく受け取らせていただきます」

 目尻に優しい皺を作って微笑んだ女性に、私も自然と笑顔になった。

 車に乗って、手に持っていた小箱のふたをそっと開けてみる。
 中には数粒ずつ個包装された金平糖が詰まっていた。

「可愛い~」

 入れ物もさることながら中身まで可愛くて、思わずほっこりした。

「本当だ」
「この箱、内箱もしっかり作られてて売り物みたいですよ。すごいですよね」

 私は思いがけないプレゼントに歓喜する。

「よかったね。向こうも感謝して喜んでいたし。ああいうときに、迷いなく声をかけるのって、意外にできない人もいるだろうから、梓さんはすごいね」
「え! そんなのめずらしくないですよ、きっと」

 私が首を横に振って謙遜すると、成さんは私を微笑ましそうに見てくるものだから、ちょっと恥ずかしくなった。
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