身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
そのとき、両手に料理を持った男性スタッフが前を通り過ぎる前に成さんに気づき、両足を揃えた。
軽くお辞儀をして、申し訳なさそうに言う。
「鷹藤様いらっしゃいませ。お待たせして申し訳ございません。ただいまご案内に参りますので」
「ええ。大丈夫です」
成さんが柔らかな口調で答えたのと同時に、カラン、とドアチャイムが鳴った。
「ああ。お客さんがたくさんだな。これじゃあきっとすぐは座れない。参ったな」
明らかにがっかりした男性の声に無意識に意識を引かれ、入り口を振り返る。
「あら……本当ね。渋滞の中迷って、ようやく着いたのに……」
続けて男性の言葉に答える女性を見て、目を大きくさせた。
やってきた夫婦は、昼間に小物入れをくれた老夫婦だった。
「はあ。仕方ない……。ほかを当たろう。もうかなり歩いて疲れたし、早く休みたいだろう?」
「でもせっかく子供たちがここをオススメしてくれたのに……。それにほかといっても、お父さんわかるんです?」
「いや……」
がっかりと肩を落とすふたりは、年齢もあってかちょっと疲弊した顔色に見受けられる。
私は老夫婦が踵を返すのを目に映したまま、成さんの袖を引く。
「……成さん。わがままを言ってもいいですか?」
そして、私は成さんに許可を得て、老夫婦の後を追いかけた。
軽くお辞儀をして、申し訳なさそうに言う。
「鷹藤様いらっしゃいませ。お待たせして申し訳ございません。ただいまご案内に参りますので」
「ええ。大丈夫です」
成さんが柔らかな口調で答えたのと同時に、カラン、とドアチャイムが鳴った。
「ああ。お客さんがたくさんだな。これじゃあきっとすぐは座れない。参ったな」
明らかにがっかりした男性の声に無意識に意識を引かれ、入り口を振り返る。
「あら……本当ね。渋滞の中迷って、ようやく着いたのに……」
続けて男性の言葉に答える女性を見て、目を大きくさせた。
やってきた夫婦は、昼間に小物入れをくれた老夫婦だった。
「はあ。仕方ない……。ほかを当たろう。もうかなり歩いて疲れたし、早く休みたいだろう?」
「でもせっかく子供たちがここをオススメしてくれたのに……。それにほかといっても、お父さんわかるんです?」
「いや……」
がっかりと肩を落とすふたりは、年齢もあってかちょっと疲弊した顔色に見受けられる。
私は老夫婦が踵を返すのを目に映したまま、成さんの袖を引く。
「……成さん。わがままを言ってもいいですか?」
そして、私は成さんに許可を得て、老夫婦の後を追いかけた。