8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~
「オスニエル様の頭が熱いのですよ。まだ熱が下がっていません」
「熱を出すなど、十年以上ぶりだ」
「まあ。健康なのですね。では私が教えて差し上げます。こういうときはおとなしくしているのが一番なんですのよ。どうかゆっくり休んで早く良くなってくださいませ」
オスニエルはまだ手を離さない。
「ここにいろ」
「ですが」
「邪魔ではない」
「では、ロジャー様が戻ってくるまで」
そう言ったものの、あれから結構な時間が立っているのに、ロジャーが戻ってこない。困り果てていると、オスニエルは顔を赤くしたまま、フィオナの手をギュッと握った。
「……悪かった」
「え?」
いきなり謝られて、フィオナは面食らった。じっと顔を見つめると、ふいと目をそらされる。けれど、掴んでくる手は先ほどより強い。汗ばんでいて、必死さが感じられる。
オスニエルは一言一言を絞り出すように、ゆっくりと話す。
「お前を殺そうとしたことだ。俺は……他国の女の妻に迎えるなど、ごめんだと思ったんだ。しかし王命には逆らえない。だから……弱いものにあたるという一番やってはいけないことをしてしまった」
「オスニエル様」
彼は本気で謝っている。そう思ったら、フィオナの胸は震えた。
「お前は俺の国の民を、自分の民だと言ってくれた。だから俺は……」
次の瞬間、フィオナはオスニエルにぐいと腕を引っ張られた。そして、信じられないことが起きる。
「……ふぁ?」
唇が塞がれた。熱いくらいのオスニエルの唇が、彼のそれよりも小さなフィオナの唇と形を合わせようとする。
一瞬ぼうっとしたフィオナだったが、次の瞬間、抵抗するように彼の胸を押さえたフィオナの手から氷が飛び出してきた。
「うわっ」
オスニエルは、呆然と目を見開く。夜着の胸のあたりがびしゃびしゃだ。
「も、申し訳ありません!」
「今のはなんだ? フィオナ」
フィオナは彼の胸を拭こうとして、手を止める。顔が真っ赤になって、まともに思考が回らない。
「は、早く、着替えて下さいっ」
そう言い、慌てて部屋から逃げ出した。
「おい、フィオナ」
彼の声が聞こえたが、びしょぬれで熱がある状態では追ってはこないだろう。
「熱を出すなど、十年以上ぶりだ」
「まあ。健康なのですね。では私が教えて差し上げます。こういうときはおとなしくしているのが一番なんですのよ。どうかゆっくり休んで早く良くなってくださいませ」
オスニエルはまだ手を離さない。
「ここにいろ」
「ですが」
「邪魔ではない」
「では、ロジャー様が戻ってくるまで」
そう言ったものの、あれから結構な時間が立っているのに、ロジャーが戻ってこない。困り果てていると、オスニエルは顔を赤くしたまま、フィオナの手をギュッと握った。
「……悪かった」
「え?」
いきなり謝られて、フィオナは面食らった。じっと顔を見つめると、ふいと目をそらされる。けれど、掴んでくる手は先ほどより強い。汗ばんでいて、必死さが感じられる。
オスニエルは一言一言を絞り出すように、ゆっくりと話す。
「お前を殺そうとしたことだ。俺は……他国の女の妻に迎えるなど、ごめんだと思ったんだ。しかし王命には逆らえない。だから……弱いものにあたるという一番やってはいけないことをしてしまった」
「オスニエル様」
彼は本気で謝っている。そう思ったら、フィオナの胸は震えた。
「お前は俺の国の民を、自分の民だと言ってくれた。だから俺は……」
次の瞬間、フィオナはオスニエルにぐいと腕を引っ張られた。そして、信じられないことが起きる。
「……ふぁ?」
唇が塞がれた。熱いくらいのオスニエルの唇が、彼のそれよりも小さなフィオナの唇と形を合わせようとする。
一瞬ぼうっとしたフィオナだったが、次の瞬間、抵抗するように彼の胸を押さえたフィオナの手から氷が飛び出してきた。
「うわっ」
オスニエルは、呆然と目を見開く。夜着の胸のあたりがびしゃびしゃだ。
「も、申し訳ありません!」
「今のはなんだ? フィオナ」
フィオナは彼の胸を拭こうとして、手を止める。顔が真っ赤になって、まともに思考が回らない。
「は、早く、着替えて下さいっ」
そう言い、慌てて部屋から逃げ出した。
「おい、フィオナ」
彼の声が聞こえたが、びしょぬれで熱がある状態では追ってはこないだろう。