8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~
「そんなわけあるはずがないでしょう? 私は侯爵令嬢よ。しかも、正妃候補の。どうして私がそんなものを手に入れる必要があるというの?」
「それは私もそう思う。ジェマ嬢は立場的に、フィオナを脅かす必要などなかった」
オスニエルが頷き、ジェマはぱっと顔を輝かせた。
「だが、残念ながら証拠がある」
オスニエルは、茶色の空瓶を取り出した。
「これは、ここにいるトラヴィスが、解毒剤だと言われてジェマ嬢から受け取ったものだ。俺もその場面は目撃している。しかし、この薬を飲んだフィオナは、さらに体調を悪化させた。そうだな、トラヴィス」
「その通りです」
「この小瓶に残った液体の成分を調べろ。結果次第では、ジェマ嬢、君に毒物入手の容疑がかかる」
オスニエルはそれをロジャーに渡す。
「オスニエル様、一つ報告が」
黒檀で作られた書類版を手に持ち、ロジャーはゆっくりと読み上げる。
「ミルズ侯爵令嬢に聞いたところ、生誕祭でのカクテルは、ジェマ侯爵令嬢が彼女に勧めたものだそうですね」
「そんなの、覚えていないわ」
「ミルズ侯爵令嬢は覚えておられましたよ。フィオナ様と親しくなりたいと話していたところ、『ダンスが終わったら喉も乾かれるでしょう。こちらを持って行っては』とジェマ侯爵令嬢に言われたと」
ジェマはカッと顔を赤らめる。
「そんなの社交辞令だわ。誰にだっていうわよ。それがどうして私が犯人だという証拠になりますの?」
「そうですね。それだけでは証拠にはなりません。しかし、あなたには前科がある。ジェマ嬢がオスニエル様に贈られた菓子からは、催淫成分が検出されました」
「なんですって!?」
わなわなとジェマが震えだす。
「確かに私があなた様から受け取ったので、間違いありません。手作りの菓子をそのまま王太子であるオスニエル様にお渡しするわけにはまいりません。成分等、しっかり調べさせていただきました」
「そんな……」
「また、給仕の遺書から不審な点が発見されました。実はこの給仕、左利きだったのですが、文字は右利きの人間が書いたものだと鑑定されました。生誕祭の日に、入り口で記入していただいた国王様への祝辞帳で筆跡鑑定したところ、似た筆跡の人物リストの中にジェマ様のお名前もございました」
淡々と語るロジャーを、ジェマはにらみつける。
「それは私もそう思う。ジェマ嬢は立場的に、フィオナを脅かす必要などなかった」
オスニエルが頷き、ジェマはぱっと顔を輝かせた。
「だが、残念ながら証拠がある」
オスニエルは、茶色の空瓶を取り出した。
「これは、ここにいるトラヴィスが、解毒剤だと言われてジェマ嬢から受け取ったものだ。俺もその場面は目撃している。しかし、この薬を飲んだフィオナは、さらに体調を悪化させた。そうだな、トラヴィス」
「その通りです」
「この小瓶に残った液体の成分を調べろ。結果次第では、ジェマ嬢、君に毒物入手の容疑がかかる」
オスニエルはそれをロジャーに渡す。
「オスニエル様、一つ報告が」
黒檀で作られた書類版を手に持ち、ロジャーはゆっくりと読み上げる。
「ミルズ侯爵令嬢に聞いたところ、生誕祭でのカクテルは、ジェマ侯爵令嬢が彼女に勧めたものだそうですね」
「そんなの、覚えていないわ」
「ミルズ侯爵令嬢は覚えておられましたよ。フィオナ様と親しくなりたいと話していたところ、『ダンスが終わったら喉も乾かれるでしょう。こちらを持って行っては』とジェマ侯爵令嬢に言われたと」
ジェマはカッと顔を赤らめる。
「そんなの社交辞令だわ。誰にだっていうわよ。それがどうして私が犯人だという証拠になりますの?」
「そうですね。それだけでは証拠にはなりません。しかし、あなたには前科がある。ジェマ嬢がオスニエル様に贈られた菓子からは、催淫成分が検出されました」
「なんですって!?」
わなわなとジェマが震えだす。
「確かに私があなた様から受け取ったので、間違いありません。手作りの菓子をそのまま王太子であるオスニエル様にお渡しするわけにはまいりません。成分等、しっかり調べさせていただきました」
「そんな……」
「また、給仕の遺書から不審な点が発見されました。実はこの給仕、左利きだったのですが、文字は右利きの人間が書いたものだと鑑定されました。生誕祭の日に、入り口で記入していただいた国王様への祝辞帳で筆跡鑑定したところ、似た筆跡の人物リストの中にジェマ様のお名前もございました」
淡々と語るロジャーを、ジェマはにらみつける。