8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~
数日のうちにオスニエルは父王を説得し、フィオナを正妃にするという通達を国中に出した。
お披露目の会が模様され、フィオナはミルズ侯爵令嬢から丁重のお詫びを受ける。
「本当に申し訳ございません。私がお渡ししたカクテルに毒が入っていたなんて」
「ミルズ侯爵令嬢のせいではございませんわ」
「いいえ。今後行動には重々注意いたします」
フィオナは謝罪を受け入れ、そしてほほ笑んだ。
「でしたら私とお友達になってはくださいませんか。この通り、私は他国の出身でこの国の貴族との顔繋ぎもできておりません。オスニエル様の迷惑にならないように、今後はもっと社交に勤めねばならないと思っておりますの」
するとミルズ侯爵令嬢は柔らかく微笑んだ。
「それは私にとっても願ってもないお願いですわ。私ずっと、フィオナ様と仲良くなりたいと思っておりましたの」
リプトン侯爵家が失脚した今、国内の有力貴族であるミルズ侯爵家と顔がつなげたことは大きい。
フィオナは、自分がこの国の役に立つことに、安堵した。
その夜、ポリーが下がりフィオナとドルフはベッドの上で会話を楽しんでいた。
「でも、ドルフがオスニエル様を乗せてブライト王国まで行くなんて思わなかったわ」
『仕方ないだろう。お前を救うためには他に方法がなかったのだから』
「ドルフは、自分の楽しみが無ければ動いてくれないと思っていたわ」
さりげなく酷いことを言うフィオナに、ドルフは苦笑する。
『それは間違ってないぞ。お前がいなければ楽しくないから仕方がなかろう。まあ、お前といれば、これからも楽しいことがありそうだしな』
そう言うと、ドルフはすっと立ち上がる。
「どこに行くの? ドルフ」
『……お前は俺に覗きをされたいのか? オスニエルを正妃になる披露目も終わったのだ。当然今夜はあいつが来るだろう』
「え?」
『そら、足音がする』
ドルフがそう告げた途端、扉が開いてオスニエルが姿を現した。いつもの着こんだ服装とは違い、首元の開いたラフな服装だ。