FUZZY





しっかりと鼓膜に届いた聞き覚えのある声の方へと顔を向けると、そこに立っていたのは碧生くんだけではなかった。

彼の隣で、彼の腕に自分の手を絡める女の子。明るめの髪をぐるっぐるに巻いて化粧も割と濃いめ。ぱっと見ギャル。でもすごくかわいい。




「アオちゃん、どーしたの?立ち止まって」


〝アオちゃん〟

あおい、だからアオちゃんって呼んでるんだよね。親しい間柄じゃなければ絶対に呼ばない呼び方だよ、それ。碧生くんのバイト先の常連さんもアオくんって呼んでたけどそれはおじさんとかで、この状況とはわけが違う。

……えっと、どうしよう。


「理乃、あいつって」


弘実は碧生くんの存在にも、隣にいる女の子にも気づいている。そして私の体が無意識に震えていることも。

女の子といるのになんで私に話しかけてきたの?その後の言い訳とか考えてるの?私だったらなんにも感じないって思ったの?


……あ、そうか。

碧生くんの〝好き〟は私と同じ〝好き〟じゃなかったってことか。体を重ねている時だけの一時的な言葉だ。だから、私たちはそのままの関係なんだ。



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