FUZZY




残念ながら私の記憶はこの辺りからまるごとぶっ飛んでしまっている。申し訳ないとも思うしでも自分の失態を覚えている心の余裕もなかったから。記憶がない方が都合いい。

お酒の力ってこわい。その日、その時だけの関係を作ってしまうのだから。奇跡的に碧生くんとはこうして再会したわけだけど。


「理乃さん」

「ん?」

「俺、理乃さんとまた会えて嬉しいよ」


碧生くんの手にはウーロン茶ではなくハイボールが。ほんとにお酒飲んでる。


「だから再会を祝して今日はいっぱい飲もう」


目の前で、ぐびぐび、音が鳴る。

喉仏が色っぽく上下に動いて私はそれをじっと見つめて、瞬きさえ惜しいほど見つめた。

勢い余って口の端からハイボールがたらり、と垂れている。


「碧生くん、これ」

「へへ、こぼれちゃった」

「……」


ずきゅん、と矢で撃ち抜かれたみたいに心臓が大きく動く。あ……やば……碧生くん、セクシーすぎませんか……???



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