FUZZY
どこかに着いたらしい。
タクシーから降りて、きょろきょろ見渡してみる。でも見覚えのない場所でハテナだ。
「俺にもたれて」と耳元で囁かれてコク、と頷く。180はあるであろう彼の胸に頭を預ければ腰と膝の裏に腕が通され、体が宙に浮いた。
ドラマや少女漫画ってヒーローがヒロインをお姫様抱っことかするよね。あんなの現実的じゃないしあり得ないって思ってたけど私、今されてるんだよなぁ。夢か?夢なのか?
……ううん。さっき飲んだお酒の匂いもラーメンの匂いも、それから彼からするシトラスの匂いも。ぜんぶ夢じゃない。ホンモノだ。
「とうちゃーく」
「ん、……ここ、どこ?」
「俺んち」
「あ、碧生くんのおうち」
…………………………。
………え。
〝俺んち〟
パ、パワーワードすぎ。