FUZZY




と、その前に。


「……さすがにここだとあれなので部屋に入りませんか?碧生くん」

「あっ!そうだね。ごめん」


片方の手で荷物を持って、もう片方の手は私の手を包み込んだ。部屋の中なのに手繋ぐんだ。なんだろ、その行動がかわいい。





適当に座ってて、と言われて床に座っていたら「なんで?!足痛いじゃん、理乃さんはソファー!」って抱っこされて座らされてしまった。

簡単に体を持ち上げるんだからすごいなぁ。筋トレとかしてるのかな。重いからやだ!っていう抵抗ができないぐらいにすんなりだった。

でも、確か初めてここに来た時もお姫様抱っこされたような……うろ覚えだけど。


碧生くんが隣に座って私の肩に頭を置いた。


「今日、イケメンコンテストどうだった?」

「ぶっちぎりのビリ〜」

「え?!?!」

「の、はんたい〜」

「さ、さすがですね、あお、っん、」


突然、唇を奪われた。

ほんとに突然すぎて「待って」とも言えず。まあ、待ってもらわなくていいんだけどね。



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