LOVEPAIN⑥
「私、帰りたい……。
帰って、いいですか?」
もし止められても、
私は帰る
この場所にも、
この人とも一緒に居たくない
べつに、この人が悪いとか、
嫌いとかではないけど
「帰りたいなら、止めない」
秋原慎太郎は私を抱き締めていた腕を緩めて、
逃がしてくれる
私はベッドからするりと出て、
床に落ちている衣服を身に付けて行く
手に力が上手く入らなくて、
もたついてしまう
なんとか衣服を着ると、
私は寝室から出ようとドアに向かって歩いて行く
「広子ちゃん」
呼び止められて、足が止まる
お礼くらい言わないとと思い、
振り返った
秋原慎太郎はベッドで寝転んだまま、
こちらを見ている
その顔は、私のこの不躾な態度に対しても腹を立てず、
何処かそんな私を心配してくれている