LOVEPAIN⑥


「首にそんなキスマーク付けて帰って来られたら。

信じたくても、信じらんないし」



これは違うと言いたいけど、

そう説明する事に、
何の意味もないような気がした



もう、私の嘘はバレているから




「私の事なんか、
信じてないくせに」



私自身、ナツキに信頼して貰えるように行動はしていないと思っている


だから、信頼して貰えているなんて、

微塵も思っていない




「俺は広子を信じてるから、

ここ迄会いに来たんだけど」


その口調には、

先程迄の刺々しい感じは無かった



「俺がどれだけお前に会いたいか、

分かんない?」




私は何も応えられなくて、
俯いてしまう




「今日だって、お前に会いたくて、ずっと部屋で待ってて……。

なのに、あんなメール寄越して来て……」




私も謝って、私だって会いたかったとか言ってしまえば、

きっと、このまま何事も無かったように収まるかもしれない



ナツキだって、

その方が傷付かないと分かっているのに



そんな言葉が、出ない




いっその事、

この場でナツキと終わらせてしまおうか、

と考えているから


< 229 / 501 >

この作品をシェア

pagetop