LOVEPAIN⑥


「ごめん。部屋迄来て。

ここ迄したらキモイって分かってんだけど……」




だけど、私にそう決断させないように、

ナツキの方から折れて来る




「謝らないでよ……」



ナツキに謝られたら、

罪悪感で胸が堪えられないくらいに苦しくなって来る




「待ってるくせに矛盾してるけど、
いっその事、お前が帰って来なかった方が良かったのかも。

そうすれば、こんなみっともない俺の姿を知られずに済んだから」




本当に、私は帰って来ない方が、

お互いの為に良かったのかもしれない




ただ、本当に仕事でならば、

今も問題ないのだけど



ナツキに嘘を付いて約束を破って迄、

他の男に抱かれて来た後だから




ナツキは床に置いている、
アウターを手に取った



それは、前に二人で買い物に行った時に、

ナツキが気に入って買っていた紺色のビームスのブルゾン



本当は始め、ナツキはそのブルゾンは黒色がいいって言っていたけど、

私が紺色の方がいいって言ったから……



そんな些細な思い出に、

押し潰されそうに苦しくなって来る


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