LOVEPAIN⑥

「病院行って来たよ」


多分、ナツキが聞きたいのはこの事だろう。


私の体の事を、誰よりも心配してくれている。


自分だって、そんな余裕ないのに…。


知らなかったとは言え、ナツキもまた通院しているなんて。


『どうだった?』


「うん。前回より私の顔色は明るくなってるって。
後、私病院変わる事にしたの」


『なんで?』


私が思っていたように、ナツキはそう訊いて来た。


きっと、榊原先生は本当の事を私が話すと覚悟はしていると思う。



ナツキがまた通院している事。


榊原先生が、ナツキを慕っている事。


でも、本音はこんな形で、ナツキのその通院を話した事や、その思いを知られたくないと思う。


「私のワガママなの。
やっぱり私の仕事の話したりとかもあるから、男性より女性の先生がいいって」


先程、榊原先生から貰った紹介状には、確実に女性だと思われる医師の名前が書かれていた。


それを見て、もしナツキに転院の理由を訊かれたら、そう言おうと思った。


『榊原先生はそんな先生じゃないの、お前も分かってるでしょ?
広子も前回あの先生の事良く思ってるような事言ってたじゃん』


ナツキの言うように、私は榊原先生に何の不満もないし、むしろ榊原先生が良い。


それにしても、こうやって聞いてると、
ナツキはとても榊原先生を信用しているのだろう。


だから、私にあの病院を紹介したのだろうけど。


そんな榊原先生に、ナツキは何を話したのだろうか…。


そうする事で、ナツキの心は少しは軽くなっているのだろうか。


やはり、本当の転院の理由は言わなくて良かったと、思う。


ナツキの心の支えを、奪わなくて。


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