LOVEPAIN⑥
「よぉ、来てたのかよ」

いつも通りの篤なのだけど、
もしかしたら、私が居て嫌がったりしているんじゃないかとか、
色々と考えてしまう。


「し、仕事終わったんですか?」


なんだか、緊張で上手く話せない。


中学生の時、好きだったクラスメイトの男の子と話した時もこんな感じだったと、思い出した。


あの頃みたいに、私はピュアじゃないのに。


「いや。今日は休みで、ちょっと」


「や、休みだったんですか!!」


「てめぇ、うるせぇな!
そりゃあ花子ほっといて出掛けた事は悪いが、用事があんだよ!」


篤はどんな用事だったのかは分からないけど、
休みなのにスーツ姿。


それにしても、意識してか篤と本当に上手く話せない。


そう言えば、成瀬に恋した始めもこんな感じだったかもしれない。


篤は部屋に上がると、私の目の前に座った。


「それ、なんだ?」


私の横に置いてある紙袋を見ている。


「あ、これですね!
これ篤さんへのクリスマスプレゼントなんです!
ほら、誕生日にネックレス貰ったからそのお返しに」


私は、その紙袋を篤に差し出した。



「ああ。
気を使わせて悪いな」


篤は受け取ったそれを、上から覗いている。



「それ、ペット用のカメラなんです」


篤がプレゼントの中身を見て期待が外れたようにがっかりされるのが怖くて、先に私から中身を伝えた。


「カメラ?」


「私、よく分からないんですけど、
アプリ?とかで自分のスマホで出先でも見られるとか」


昨日、榊原メンタルクリニックの近くのペットショップで購入した。


篤には花子関係の何かをあげようと思っていて、昨日ペットショップを見ていて、これだ、と思った。


前に会社で篤を見掛けた時、携帯もスマホに代わっていたのも知っていたから。


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