LOVEPAIN⑥

そして、楽しみにしていた成瀬企画の、忘年会。


「広子、あんたWDSの単体なんでしょ今?」


そう言うのは、モモさん。


今回も、前回の成瀬企画の飲み会の時と同様、
私はモモさんとマリンさんと同じテーブルに。


前回居たアンさんは、今日は急遽不参加になったみたい。


「アンの彼氏体調が悪くなったんだって。
まー、アンの彼氏けっこう歳行ってるからねぇ。
死ななきゃいいけど」


モモさんのその言葉に、
ああ、アンさんは枯れ専だったなぁと思い出した。


「そうそう!噂で、広子ちゃんTRIANGLEのPVの仕事したって聞いたよ!」


向かいに座るマリンさんは、目を輝かせてそう聞いて来る。

その隣のモモさんも、今初耳なのか知っていたのか分からないが、
興味津々っぽく私を見ている。


「いや、それはただの噂ですよ!
そんな仕事してないです」


その仕事の事は一応内密にと、向こうのスタッフの人達から箝口令が引かれている。


モモさん達くらいになら話しても、と思わなくもないけど、
なんとなくこの二人はまたそれを誰かに話しそうだな、と思った。


「私、TRIANGLE好きなんだよねぇ。
広子ちゃんいいよね。
慎太郎のお気に入りで」


マリンさんは、恋する女子のようにそう語る。


それで思い出したけど。


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