LOVEPAIN⑥
「そう言えば、そのTRIANGLEのボーカルの秋原さん、最近聴いたラジオで、
私に冷めてマリンさんのファンになったって言ってましたよ」


「うん。私も聴いてたから知ってる。
スッゴイ嬉しかったけど、広子ちゃんの時みたいに本気じゃないんだと思うよ」


別に、秋原慎太郎は私に対しても本気じゃ無かったけども。


そう口にしようとして、それは辞めた。

なんでそう思うのかと訊かれても、PVの仕事で会った事が言えないし。


そう言えば、あのラジオで秋原慎太郎は私と極秘の仕事で会った事は話していたな。


“ーー極秘の仕事だから、

何の仕事で広子ちゃんに会ったのかは言えないんだけどーー”


なら、マリンさんもそれを知ってて、それなのに私の先程のPV撮影の嘘を追及して来ない辺り、
大人なんだな。


「TRIANGLEのライブ一回くらい行きたいな。
迷ってたけどファンクラブ入ろうかなぁ。
ファンクラブ入っててもなかなかチケット取れないみたいだけど」


そう言っているマリンさんを見ていて、
なんだかいつもとは違うその姿に戸惑ってしまう。


それ程私はマリンさんを知ってるわけではないけど、
いつもなら、こんな話になれば秋原慎太郎とヤりたいくらいの事は口に出していたんじゃないだろうか?


そうか。


マリンさんも、本当はただの女の子だったんだな。


この人もキャラを演じていて、
本当は心を磨り減らしてAVの仕事をしているのかもしれない。


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