LOVEPAIN⑥



ピンポーン、と私は篤の部屋のチャイムを押した。


篤の部屋の合鍵を持っているけど、
篤は現在部屋に居るみたいだから、

チャイムを押した。


一人で部屋に居る事が辛くて、
居ても立ってもいられなかった。


篤と花子の顔を見たら、このどん底のような気持が少しでも晴れるような気がした。


花子に会いたかったと、言えばいいだけ。


篤が出て来るそれまで、そう何度も思う。



ガチャ、っとドアが開いて中から出て来たのは、それは篤ではなくて女性。


第一印象で分かるくらい、気の強そうな女性だけど、
けっこう美人。


篤の物だと思われるスウェットの上下を着ていて、
風呂上がりなのかシャンプー等の匂いが漂って来る。


「…誰?篤なら居ないけど。
何か篤に用だった?」


そう言って私を見るその目が、怖かった。


この人は篤の好きなギャル系ではないが、
多分、篤と同じようにヤンキーと分類されるような系統の感じがする。


「え、ああ、そうなのですね。

あれ、私部屋間違えた!
隣に住んでるんですけど、なんでか間違えて篤さんの部屋のチャイム押してしまって…えっと、その…。

すみません!」


私は慌てて、自分の部屋へと戻った。


そして、急いで部屋の鍵を掛けた。


少し前に篤は今は彼女が居ないと言っていたけど、
また新しい彼女が出来たのかもしれない。


私も経験あるから分かるけど、出来る時はそんなもの直ぐに出来るし。


もしかしたら、これからは花子の世話もあの女性に頼むのかもしれない。


もう、篤にとって私は用がないのかもしれないな。


篤は、さっきの女性の事好きなのかな?

なんだか、落ち込むなぁ。
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