LOVEPAIN⑥
「篤さんは、今日は友達と飲んでたんですね?
それで花子の世話をお姉さんに頼んだんですか?」


最近の篤は、仕事以外ではわりと出掛けず花子の側に居るように思う。


だから、そうやって花子の為に。


「ちょっと違う。
今日地元で何人か集まって飲んでたんだけどよ、その集まりに向かう途中で姉貴にバッタリ会って。
聞いたら一緒に住んでる男と喧嘩して行く場所がないから、実家に帰ろうと思ってるって言うからよ。
だから、なら俺の部屋の鍵渡して、花子見ておけって言って」


「そうだったんですね。
それにしても、お姉さんあんまり篤さんに似てないし、本当に彼女だと思いました」


雰囲気は篤に似てなくは無かったけど、
顔は全然似て無かった。


「まあ、父親は違うからな」


「そうなんですね」


篤はけっこう複雑な家庭なのだろうか?


「前にお前には姉貴が二人居てってのは話したような気がするが、
今日会った奴は、下の姉貴。
その姉貴だけじゃなく…。
あー、なんつーか、俺ら姉弟(きょうだい)三人全員父親がちげぇんだよ。

俺ら以外兄弟はもういないが、
現在の母親の男も、もう何人目の父親か分かんねえ。
どーせ、またすぐ別れるだろうし」


篤の話を聞いていて、
なんとなく先程聞いた佐藤雲雀の母親の事を思い出した。


そして、篤もそんな自分の母親みたいに男にだらしない私が嫌いだったりするのだろうか?


「篤さんの母親って、なんか私みたいですね?」


気になって、自分から言ってみる。


「いや。あのババアは男を手当たり次第手玉に取り転がしてる、
魔性の女だ。
お前とはちげーよ」


魔性の女…。


確かに私は魔性ではないし、
男をこの手で転がしてはいない。

そして、暗に、私はその篤の母親とは違って、モテるわけではないと言いたいのだろうか。

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