LOVEPAIN⑥
「分かった。
私今日は一人で行くから!」


「は?」


私を睨む篤を、睨み返す。


「篤の前で、私他の男の人と出来ない!」


「俺の目の前じゃなきゃあ、平気なのかよ?」


その言葉に、さらに私は篤を睨んでしまう。


腹が立っているのは、目の前のこの人じゃなくて、成瀬なのだけど。


けど、篤も篤で、なんでそんな感じなのか。


これから仕事で、私が他の男に目の前で抱かれるのに。



「つーか、仕事なんだから仕方ねぇだろ。
成瀬さんも俺らの関係知んねぇし。
俺が頼みやすかったんだろ」



成瀬は私と篤の関係を知った上で、
篤を寄越した。


怒りからか、拳をギュッと握る。


「別室でモニター越しにチェックするだけだって聞いた。
ちょっと癖のある監督らしいから、
NGとかその辺り、気にしといてくれってよ。

俺だってな、好き好んで来たわけじゃねぇ。
仕事だから、仕方ねぇだろうが」


口調は荒いけど、その語気が弱くて。


篤の顔を見ると、私以上に辛そうで。


もう言葉が出て来なかった。


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