LOVEPAIN⑥
私は、もう二度とAV女優として裸になる事は無かった。


私の最後の作品、WDSでの最後の作品は、今までの映像を使った総集編として、リリースされる事になった。


パッケージも、今までの撮影の映像や写真を使う事になった。


勿論、ノーギャラだけど。



本日、3月3日。


夕方の16時。



私は成瀬企画に居た。


事務所には、私と成瀬の他に、
社員の阿部さんが居るだけ。


私は数日前と同じように、
デスクに座る成瀬の前に立つ。



「ちょうど、一年か」


成瀬にそう言われ、ああ、そうか、と思い出した。



「成瀬さん、今日誕生日でしたよね?
私、すっかり忘れてました!」



去年は知らなくて成瀬にプレゼント出来なかったので、
来年の誕生日は、と思っていたのに。



「お前、幸せボケしてるからな」


その言葉に、篤の顔が浮かんだ。


先日の出来事で、私の病気が篤に知られ、
今まで以上に私は篤に大切にされている。


ちょっとした事で篤から怒鳴られる事も無くなり。


ま、その感じは私は嫌では無かったので、
そのままの篤でも良かったのだけど。


とにかく、私は篤にとても愛されている。


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