LOVEPAIN⑥
「でも、あの撮影の時、もし篤が止めに来なくて、私もまた発作で倒れて、とかなったら、成瀬さんどうしてたんですか?」


そうなる可能性だって、有った。


「いや。それはない。
篤は絶対止めるから。
まさか、開始1分で飛び込むとは思わなかったけど。
10分くらいで、篤が限界来るか、と思ってたが」


そう笑っている成瀬の顔を見ていると、
私よりもよく篤の事を分かっているみたいで、
少し妬けてしまう。


「お前には、怖い思いさせて悪かったけど」


「いえ。今回の事が無かったら、私も辞める決断が出来なかったです。
あれだけ辞めるのが怖かったのに、
いざ、辞めると決めたら、清々してます」


今は、肩がスッと軽くなった感じがする。


仕事だとしても、もうこの先篤を裏切る事が無くなって、ホッとしている。



「きっとこれからは篤が守ってくれるから、お前は大丈夫だ。
この仕事をしていた事で、それなりに辛い事はあるかもだが」


篤が側に居てくれたら、成瀬の言うように私はもう大丈夫なのだと感じた。


「あ、そういえば、今回の撮影中止の賠償金はどうなりました?」


その辺りは、追って篤に連絡すると成瀬は言っていたが、今だに何の話もない。


「それは、問題ない」


「問題ない?」


「ああ。あの金村監督が集めた男優の殆どが、まぁ、前科があるような奴らばっかりで。
で、特に篤が掴みかかった奴は執行猶予中みたいで、向こうも事を荒立てたくないみたいだ」


あの人達、プロの男優さんではないと思っていたけど、
そんなヤバイ犯罪者集団だったんだ。


一体何の犯罪を犯した人達だったのか。


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