LOVEPAIN⑥
「すぐに、父親に頼んで金出して貰って、この会社を作った。
それと同時に、興信所に頼んであの人の事を捜した。
田舎に帰ってお見合いなんて、嘘だと思っていたし、
もしそれが本当なら、それはそれでいいと思って」


「その彼女は見付かったんですか?」


成瀬は私の顔を見ているだけで、
その質問には答えてくれなかった。



「AV女優としての芸名を知らなかったから、ちょっと時間掛かったけど。
この仕事を始めて3ヶ月くらいで、つてを辿ってやっとあの人が急に居なくなった理由が分かった。

居なくなったあの日、あの人は撮影で出掛けていた。
それはあの日の朝、俺も聞いて知っていたんだけど。
ケーキでも買って帰るね、なんて笑って出て行った」



「あの日、あの人の撮影は…。
末端の企画女優の彼女の扱いは、ぞんざいで。
その日の仕事は、この業界で最悪最低だとされてるメーカーの物で。
その日の撮影で、あの人は、顔に大きな火傷を負った。
その撮影を最後に、あの人はAVを辞めた。
そして、そんな酷い撮影なのに、そのVは普通に販売もされていた」


「まさか、成瀬さん、それを見たのですか?」


「見た」


成瀬はそう口にして、それ以上の言葉は何も言わない。


その映像は、好意のある私の撮影を見ている事すらも生ぬるいと思う程の、ものだったのかもしれない。



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