レモンキャンディーにさようならを
「あぁ、はい」
古賀先生は困ったような笑顔になって、
「朝から噂になっていますね」
と言った。
やっぱり。
やっぱり、本当なんだ。
「あの、すみません……」
「川越さんが謝る必要はありませんよ。先生こそ、驚かせてしまってごめんなさい」
胸が苦しくなってくる。
古賀先生が学校からいなくなる。
この町からいなくなる。
もうそっと隠れて見つめることさえ出来なくなるんだ。
「先生は故郷に帰って、そこでまた中学校の先生をします。故郷に帰ることを応援してくれる人もいますし、頑張りたいです」
お弁当のおかずをもぐもぐ食べながら言った古賀先生の言葉に、引っかかった。
「……応援してくれる人?」