レモンキャンディーにさようならを
本校舎の1階には保健室がある。
扉をカラカラ開けると、暖かい空気に包まれる気がした。
「どうしたの?」
鈴木先生がのんびりした口調で話しかけてきてくれた。
鈴木先生はメガネをかけた若い女性教員で、声が高い。
あんまり話したことがないけれど、優しそうな雰囲気の人だなって思う。
「あの、お腹が痛くて。……5時間目はここで休んでもいいですか?」
「あらら、お腹?」
鈴木先生は私を椅子に座らせると、私が何年何組の誰なのかを確かめた。
「古賀先生のクラスね。先生にも話すから、ちょっと座って待っててね。あ、ベッドで寝てる?」
鈴木先生は保健室に設置されている電話の受話器を片手に、心配そうな表情で聞いてくれた。
私は頭を横に振って、キリキリ痛むお腹をさする。
職員室にいる古賀先生に連絡した鈴木先生は、
「古賀先生、ちょっと様子を見にくるって」
と言って、私のそばに寄ってきた。
え?
古賀先生がくる?