レモンキャンディーにさようならを


……「僕」。



古賀先生、「僕」って言った。



何てことない言葉に心が少しだけほんわかする。


……あれ?


もしかして古賀先生、昼休みに裏庭に来たのは偶然じゃないの?


他の先生からの話を聞いて、心配してくれていたのかな……?


裏庭に向かう私を見つけて、心配してそばにいてくれたのかな……?





もしも。


もしもそうだったら、私……。





胸の奥がぎゅうっと苦しくなった。



こんなに近くにいるのに、古賀先生がとても遠くに感じる。


古賀先生の「特別」になりたくても、決してなれない。


だけど、こんな些細なことで心が温まるんだ。





膝に乗せていたこぶしに、一粒の涙がぽたりと落ちた。



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