レモンキャンディーにさようならを
「先生……、私は良い子にはなれません」


のどの奥がぎゅんっと痛む。



「良い子になりたいって、ずっと思っていました。そのために頑張ってきたつもりです」



涙が次々と頬に伝う。




「……でも良い子なら、きっとこんな恋なんてしない」





制服の胸ポケットには宝物。

先生との秘密の、レモンキャンディー。



私はそれを取り出して、ぎゅっと握る。





「先生が好きです……、ごめんなさい」








消えそうなくらいの弱々しい声しか出なかった。




握りしめた宝物は、包み紙の上からでもねっとりしていることが分かる。






「川越さん」
古賀先生は私を真っ直ぐに見つめた。




「先生は川越さんをとても良い子だと思っていますよ」




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