Re:START! ~君のバンドに、入ります~
「俺たちのバンドでボーカルをやってくれねえ?」
――はい?
全然想像してなかったことを言われて、私は固まってしまう。
バンドのボーカル……?
バンドって、ギターとかドラムとかを演奏して、歌を歌う人がいて……。
ボーカルって、歌を歌う人だよね?
混乱のあまり、バンドとボーカルについて知っていることを頭の中で整理する私。
そういえば、ふたりとも黒いケースに入った大きな何かを背負っている。
よく知らないけど、ギターとかベースのような形に見える。
えーと、つまりふたりがバンドをやっていて、それのボーカルに私を誘った……っことか。
なるほどね。
――って。
「いやいや! なんでっ!?」
わけがわからなくって、思わず大声をあげる。
なんで私なんかを!?
ふたりとだってほとんど話したことがないのに、いきなりバンドなんて意味不明すぎるよ!
「なんでって。隣の部屋にいたら、俺たちのバンドに合いそうな歌声が聞こえてきたから、誘おうと思ったんだよ。まさかお前とは思わなかったけど」