Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 私が慌てているというのに、いたって冷静に律くんが言う。


「バンドに合いそうな声って何!? 私歌うなんて無理だから!」

「あんなに大声で歌ってたじゃねーか」

「……! あれは! 誰も聞いてないと思ってたから!」


 ふたりが隣にいるって知ってたら、思いっきり歌うなんてこと絶対にしなかった!


「詩乃ちゃんSTAR STARTの曲歌ってたよね」


 おだやかにそう尋ねてきたのは、響斗くん。


「え、うん……」

「まさかと思ったよ。カラオケにこの曲は入ってないのに、俺たちの……」

「とにかく! お前は俺たちのバンドに入れっ!」


 響斗くんの言葉に耳を傾けていたのに、それを途中で遮って、律くんが強い口調で言った。

 ソファに座る私に詰め寄るような形で、私を睨むように見つめながら。

 ――え、ちょ、ちょっと。

 怖い!


「む、無理だってば! さよならっ!」


 泣きそうになりながらも、私は勢いよく立ち上がって慌てて部屋から出る。

 わけがわからないけど、とりあえず逃げなきゃ!


「あ! おい待てコラ!」


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