諦 念

▪▪父から 光輝


父親から父の宿泊している
ホテルにくるように
連絡が来た。

父の手も腫れ上がり
俺の頬と目蓋も腫れ上がっていた。
だが、そんな事を気にする余裕などない。

ホテルに入り、父を見るなり
「こんなことに巻き込んですまない。」
と、頭を下げる。

父は、何も言わずにいたが。
「全てに見通しがたったら
日本を離れろ。
田中さんとの話し合いは元より
三瀬さんに対して誠意を持って
対応しろ。
非礼は許されない。
今度間違ったことをしたら
俺自身がお前を無きものにする。

田中さん側は、お前でなく
俺に話がくるだろう
都度連絡する。
三瀬さん側の弁護士さんからは
お前に連絡があるだろう
預金の全てを確認しておけ。

会社は、退社して
会社のマンションは速やかに
明け渡しなさい。

田中さんの物は実家に送りなさい。
電化製品等は、リサイクルなり
廃棄するなりしなさい。
よいな。

俺は、明日の朝イチで帰る。」
と、言われて
「わかりました。」
と、言うしかなかった。

父は、疲れた顔をしていて
自分の仕出かした事の大変さに
悔やんでも、悔やんでも
悔やみきれなかった。

好きな仕事も
好きな女性も
自らの行いで失ってしまった。

俺は、神戸に戻り
マンションへと帰った。
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