諦 念

▪▪栞那、父・実


全てが終わったのは、
あの日から五ヶ月後だった。

その間の栞那は
体も安定しなくて
むらがあった。

そんな栞那に明奈ちゃんは、
ずっと寄り添ってくれていた。

泊まり込んだり、
たまには、食事にでたり
ショッピングに連れ出してくれたり

仕事では、十川さんが
無理をさせないように
付かず離れずで
見守ってくれていた。

何度も鎌倉につれて帰ろうとした
だが、栞那が仕事が好きなのを
知っているから
見ていくしかなかった。

彼とあの女性は離婚をした。
慰謝料なしの子供の養育費を
子供が二十歳になるまでは
支払う。

彼は、当時職を失っていたので
最低の賃金の支払いを決めて
就職したさいは、
また連絡をする事に
なったとか。

栞那に対しては、700万円を請求した。
彼は、退職金を全て栞那に使った。

神戸のマンションから退去し
カプセルホテルに泊まりながら
弁護士の先生とのやり取りをして
海外で、もう一度、一から
出直し勉強するらしい。

あの日の翌日、営業部長に
退職の意思と個人的な事で
お時間を割いて頂いた事を
詫びていたと。専務さんより聞いた。

専務さんの配慮で柳川先生が
お手伝いをと声をかけて頂いたから
先生の知り合いの弁護士さんを
紹介して頂き、先生立ち会いで
話しを進めてもらった。

田中さんは、警察の調べで
ストーカーをしていた事と同じ
扱いで警告を受け二度と
同じ事をやらない事を確定された。

栞那に対して
精神的な苦痛と迷惑料として
500万円を支払う。
本来ならもっと請求したいくらいだが
彼女は、今から子供を産み
育てていかないといけない事もあり
そうすることに決めた。

彼女は、預金をあまり持ってなく
父親から借りて出産後一年したら
仕事に付き返済をする書類を
交わしたそうだ。

彼女は、全て終わると
北海道の地に父親から
行かされて
一人で、出産、子育てをやるように
言われたらしい。

田中さん(父親)からは、
自分の育て方に問題がありました。
三瀬さんに、お嬢さんに対して
一度も謝罪の言葉も
言えない情けない娘に
育てしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。
と、連絡を頂いた時に
言われた。

同じ娘の親として
娘がどんなに可愛いのかわかる。
胸が潰される思いで
誰もいない地に突き放さないと
いけない田中さんの気持ちを
思うとたまらないが
今は、そっとしておく事にした。

専務さん、柳川先生にお礼を
伝え、個人的な一社員の為の
計らいに感謝をし
ご迷惑かけたことを
お詫びした。

専務さんからは、
栞那の事は、陰ながら
見ていきます。
と、言ってもらえた。
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