諦 念

▪▪ゲンコツ


私は、真琴を保育園に預ける。

二、三時間から初めて
少しずつならしていく····
初めは泣いていたが
すぐにお友達ができたようだ。

働く場所は、保育園の近くの
スーパーのレジ。
最初は、慣れなかったけど
皆さん優しくて
「最初から出来たら
   私達は、要らんから」
と、言ってくれる。

ひと月を過ぎると
レジにはなれてきた。
保育園の先生や
おばちゃんたちも来てくれた。

私は、中古?の自転車を買い
雨でも真琴が濡れない椅子を
購入した。

真琴は、きゃーっ、きゃーっ
喜んでいた。

初めてのお給料で
おばあちゃんやおばさんに果物を
おじいちゃんやおじさんには、
ビールを買った。
少ないけど、喜んでくれた。

その中から父宛にお金を送る。

家賃もいらないし
食費をおさえたら
親子二人暮らしていける。

ありがたいことに
母子家庭の為
母子手当も貰えて
保育料も無償化ということで
とても助かっている。

母子手当と光輝からの養育費は、
真琴の為に貯めている。

医療費もいらないが
真琴は、あまり病気をしないから
あまり関係なかった。

児童手当も頂けて
それは、父への返済の一部に
あてている。

早く返済して
両親の負担にならないように
したいから。

私は、一緒に働く先輩に
今までの経緯を話した。

先輩は、話を聞きながら
子供みたいな私に
飽きれながら、驚きながら
聞いてくれてから
私の頭をゴツンとゲンコツをして
その後、直ぐに頭を撫でてくれて
「もう、全て理解出来て
猛反省しているんでしょ?
必死に真琴ちゃんを
育てているのが証拠だよ。
きっと、両親もわかってくれるよ。」
と、言ってくれた。

私は、大声で泣いてしまった。

もの心ついてから初めてだった
人前で大声で泣くなんて·····

先輩は、背中をさすりながら
「沢山、泣きな。」
と、言ってくれた。

今日、真琴は近所のおばあちゃんが
見てくれていた。
迷惑じゃないかと思っていたが
「ひ孫と遊べるんじゃ
楽しみなんだから、ゆっくりして
おいで。
くれぐれも早く帰ってきたら
いかんよ。」
と、笑いながら言ってくれて
心が、ホワッと温かくなり
「はい。」と、答えると
うんうん、頷いてくれた。

どのくらい泣いたか
先輩に沢山お礼を言って
真琴を迎えに行くと
眠っていたので
そっと、抱き上げて
おじいちゃんとおばあちゃんに
何度もお礼を言って
帰宅した。

その日は、泣いたせいもあり
真琴の横にゴロンと
寝てしまった。

***** ***** *****

もうすぐ、5歳になる
真琴は、おしゃべり好きの
女の子に成長した。

頑張って、頑張って
三年で両親に立て替えてもらった
お金は返した。

最後に、両親への謝罪とお礼
真琴の写真。
そして、回りの方々に
本当に良くしてもらっていることを
伝えて、ここに住ませてもらえた
ことへのお礼を伝えた。

良く年には、母が遊びに来てくれた。
本当に嬉しかった。

更に良く年には、勇気をだして
三瀬さんに、お詫びと真琴の写真を
添えて送った。
自己満足だとわかっているが
一度も謝罪をしていなかったから
いまならわかる。

だから、どうしても
謝罪をしたかった·····

私の身勝手なものです。
嫌でしたら破棄して下さい。
と、添えて····


半年後に、三瀬さんから
十川さんとの結婚の報告を添えてあり、
「謝罪を受け取りました。
身体にくれぐれも気を付けて下さい。」
と、手紙があり
両親と先輩にも知らせた。

光輝については、
誰も教えてくれなかったが
私自身も聞きたいとも
気になるとも
まったくなかった。
三瀬さんから奪いたいと
あんなことまでしたのに。
今は、真琴さえいてくれたら
それで、良かった。
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