婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
 それだけは不思議だったが、レナートの軍の者達は彼に影響を受けているのか、素直で気のいい人間ばかりだった。戦場にいるとは思えないほど穏やかな気持ちで、オディーリアは日々を過ごしていた。

 汚れたシーツの洗濯のため、オディーリアとクロエは外に出る。

「さむっ」

 クロエが思わず悲鳴をあげたのも納得の寒さだった。太陽はどんよりとした灰色の雲に覆われ、ピューピューと吹き抜ける風はすべてを凍りつかせるような冷たさだった。
 
(そろそろ雪になるな)

オディーリアは空を見上げて思った。

「これはちょっと、外で戦う兵達にはしんどいね」

 クロエの言葉に、オディーリアも同意した。

「もう終わるといいね。……お互いのために」
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