ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 電車に乗り誠の家は松田と同じ駅なので一緒に降りそこからは松田と距離なく隣を歩いた。車で行った方が早いから、と松田の好意に甘えて、一度松田のアパートに寄り車で送ってもらった。
 事前に誠には連絡済みだったので部屋の呼び鈴を鳴らし誠が出てくるのを待つ。
 少し緊張しているのかやけに喉が渇き、手にじんわりと汗をかき始めていた。
 「お待たせ〜」と玄関越しに聞こえてくる声はいつもの誠の高い声ではなくごく普通の男の人の低い声だった。
 松田も不思議に思ったのかお互い顔を見合わせ「え、ここって誠の部屋だよな?」「え? 誠さんの部屋でしょ!?」と聞こえない程度の小さい声でお互い驚きが隠せないでいた。
 ガチャッと鍵の開く音。現れたのはいつもの可愛らしい誠ではなかった。髪の色は同じだが明らかに長さが短くなっている、と言うよりも男の人の髪型になっている誠がヒョコッと顔を出し「驚いた?」と少し照れながら笑っている。

「えっ!? 誠さん!?」

「おまっ、え、急にどうした!?」

 私も松田も驚きを隠せない中、誠が玄関から出てきて更に驚いた。いつも可愛い服装だった誠とは打って変わって男物のデニムにVネックの黒いセーターを着ていた。
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