ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「このまま行きたい場所があるんで向かっちゃっていいですか?」

「え、いいけど、次はどこに行こうとしてるの?」

「俺ん家です」

「ふーん、松田君家ね、……松田君家!?」

「そう、俺ん家」

「いやいやいやいや、行きません!!」

 いきなり男の家に行くとかハードルが高すぎる。
ましてや要注意人物男。松田の家に入ったらどうなるか分からない。さっきのライオンみたいに、た、食べられちゃうかも……

「でも俺もう夜ご飯の下拵えとかしてきてるし、美味しいワインも用意してるのになー」

「……夜ご飯に、ワイン……」

「そう、アヒージョとか作って水野さんをおもてなししようと思ってたのになー」

「くっ……」

 なんたる誘惑。美味しそうな夜ご飯にワインのセット。食べたい……飲みたい……

「来ない?」

(そんな残念そうな顔で……こ、子犬か……この男は子犬なのか……)

「……行く」

 食欲に負けた、そう食欲に負けたのだ……仕方ない。
人間の三代欲求の一つなんだから。うん、仕方ない。
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