ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 朝起きて鏡を見ると大分目の腫れは化粧で誤魔化せるくらいまで引いていた。
 いつも通り会社に行く準備をし家を出る。
 その足取りは重いような、軽いような、なんとも言えない緊張感。
 会社の前に着きフゥと深呼吸をしてからドアに手を伸ばす。

「あ、水野さん、おはよう御座います」

 松田がいつも通り一番に出社していた事に風邪が良くなってよかった、とホッとする手前、松田のことを好きだと意識してしまったせいでいつもどうやって松田と接してきたのか分からなくなる。
 ドッドッドッと心臓の音がうるさい。

「水野さん、顔赤いですけどもしかして俺の風邪が移っちゃいました!?」

 近づいてくる松田に更に心臓の動きはさらに速くなり、全力疾走した後のように息が切れる。
 ギュッと目を閉じ落ち着け、落ち着け、と自分に暗示を開けているとコツンと額に何かが触れた。
 バッと目を開けるとドアップの松田の顔が目に映る。

「んなっ!!!」

「熱は無いみたいですね、何かあったらすぐに俺に言ってくださいよ?」

「だ、大丈夫よ! 仕事始めるわよ!」

「はい」
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