強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
気持ち良くなり青信号を胸を張って歩いていると、前から見たことがある人が歩いて来た。
(あれって、あの子ってクラスのリーダー格の荒木さんとその取り巻きじゃ……)
荒木さんはクラスの地味な子をいじめにならない程度にいじって楽しんでいる計算高い悪い女だ。私は目を付けられたことはないが、別に仲良くもない。ただクラスが一緒の顔見知り程度だ。
荒木さん達は私を見るなり少し委縮して足早に横を通り過ぎて行った。一ミリも疑いの目を向けることもなく。
なんだかそれが物凄い快感だった。今ここにいるのは高橋菜摘なのに高橋菜摘だとは気付かれない。本当に生まれ変わったのだと興奮した。
こんなに胸を張って歩くのは初めてだ。いつも下を向いて、誰からも必要とされなくて何のために生きているのか疑問に思っていたが、なんだか心が少しスッとしていた。
「ねぇねぇ君、一枚撮らせてもらってもいいかな?」
声を掛けてきた相手を見ると、髭を生やした三十代くらいの男でなかなかに怪しい。その後ろにはカメラやレフ板を持っている人が数名いた。
「僕、こういう者です」
髭の男が名刺を差し出して来た。不審に思いながらも名刺を受け取ると、怪しい人物は必死に熟読していたギャル雑誌の編集者だった。
「ぜ、ぜひ! お願いします!」
この日から私の人生は一変した。
私が雑誌のスナップに載った直後から、渋谷を歩くとナンパや他のギャルから声を掛けられるようになった。
それに気持ちよくなった私は親から送られてくるお金でどんどんギャルを追求し、身を派手にしていった。