強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
渋谷のギャルやギャル男達はみんな私の顔見知りだった。渋谷に行けば誰かしらに会える。だから寂しくなんかなかった。
「学校辞めちゃおうかな~」
「いいんじゃない。高校なんて行っても行かなくてもなんも変わんないよ」
「なちゅがそう言うのならそうかもしれないッ!」
まりりんは人に流されやすい。特に私の言葉にはよく従う。なんでも私をリスペクトしているとかで初めて撮影で会った時に猛烈な愛の告白をされ、そのうえ号泣された。
「こらー! そこの学生! もう二十二時過ぎてるぞー! 帰りなさい!」
「うげぇ、マッポだ!」
「まりりん、みんな散るよッ」
「おっけぇーッ!」
この頃渋谷は警察の見廻りが強化され補導されることが多くなった。制服を着てたむろしている私たちはあたかも、非行少年少女ですと言っているようなものだった。
「はあ、はあ、さすがにここまでは追ってこないっしょ」
センター街から横道に反れ、井の頭通りを神山町方面へ走った。渋谷の街はもはや庭も同然。道に迷うことなどはないし、知らない通りはない。
息を切らして振り返ると平然と息も切らさず、涼しい顔をしたお巡りさんが立っていた。
「もう鬼ごっこはおしまいか?」